
中古マンション購入前に要確認!地震リスクの見分け方と安全性判断のポイント
近年、大きな地震が相次ぎ、中古マンションの地震リスクが気になる方は少なくありません。
ただ、構造や築年数、立地など、何を基準に地震に強いマンションを見分ければよいのか悩む方も多いはずです。
そこでこの記事では、旧耐震基準と新耐震基準の違いといった基本から、建物構造や地盤、周辺環境まで、地震リスクの見分け方を整理して解説します。
さらに、内見時に確認したいポイントや、専門家の知見をどのように活用すればよいかも具体的にご紹介します。
これから中古マンション購入を検討される方が、自分と家族を守るために、安心して選択できるようになることを目指した内容です。

中古マンションの地震リスクと基礎知識
日本は世界有数の地震多発国であり、気象庁が観測する有感地震だけでも毎年数千回発生しています。
その中でも、震度5弱以上の地震は毎年のように各地で記録され、建物への影響が無視できない規模に達しています。
過去の大地震では、鉄筋コンクリート造のマンションは一戸建てに比べて倒壊は少ない一方で、外壁タイルの剥落や共用部のひび割れなど、中小規模の被害が多く報告されています。
こうした被害は、建物の築年数や構造、管理状況によって差が出ることが国や自治体の調査から明らかになっています。
日本の耐震基準は、1981年の建築基準法改正を大きな転機として大幅に強化されました。
1981年5月31日以前の基準で設計された建物が「旧耐震基準」、同年6月1日以降に建築確認を受けた建物が「新耐震基準」とされます。
旧耐震基準は震度5程度の地震で倒壊しないことを主な目標としていたのに対し、新耐震基準では、震度6強〜7程度の大地震でも倒壊や崩壊を防ぐことが求められています。
阪神・淡路大震災などの検証では、新耐震基準で設計されたマンションの方が、旧耐震基準の建物に比べて倒壊や大破の割合が明らかに少ないことが確認されています。
中古マンションを購入する際に、地震リスクを見分けることは、命を守るだけでなく、資産価値を守るうえでも重要です。
大きな地震で建物が大破すれば、長期の避難や建替えが必要となり、修繕積立金や一時金の負担が急増する可能性があります。
一方で、地震に配慮した設計や耐震改修が行われているマンションであれば、被害を軽減できるだけでなく、将来の売却時にも一定の評価を得やすいとされています。
そのため、築年数だけで判断するのではなく、耐震基準や構造、維持管理の状況を総合的に確認し、自ら地震リスクを見極める姿勢が大切です。
| 項目 | 旧耐震基準 | 新耐震基準 |
|---|---|---|
| 建築確認日 | 1981年5月31日以前 | 1981年6月1日以降 |
| 想定する揺れ | 震度5程度で倒壊防止 | 震度6強〜7でも倒壊防止 |
| 被害傾向 | 大破・倒壊リスク高め | 中小破中心で倒壊少なめ |
地震に強い中古マンションを見分ける建物条件
地震に強い中古マンションかどうかを考える際には、まず建物の構造種別を押さえておくことが大切です。
代表的な集合住宅では、鉄筋コンクリート造が広く用いられており、圧縮力と引張力の双方に強く、耐震性に優れているとされています。
また、同じ鉄筋コンクリート造でも、耐震壁の配置や柱・梁の太さ、階数とのバランスによって、揺れへの強さは異なります。
さらに、建物の平面形状が長細すぎたり、凹凸の多い複雑な形状であったりすると、揺れが一部に集中しやすく、ねじれが生じやすい点にも注意が必要です。
次に、地震時の被害事例から注意したいのが、1階部分に壁が少なく柱だけで上階を支えるようなピロティ形式のマンションです。

過去の大地震では、旧耐震基準で設計されたピロティ形式の建物で1階が大きく変形し、層崩壊に至った事例が報告されています。
また、1階が全面駐車場や店舗で、上階と比べて耐力壁が極端に少ない場合、地震エネルギーがその階に集中しやすくなります。
したがって、このような構造の中古マンションでは、柱の補強状況や耐震改修の有無などを、より慎重に確認することが重要です。
建物の耐震性をより客観的に把握するためには、耐震診断結果の数値を確認する方法が有効です。
鉄筋コンクリート造の既存建物では、一般に「Is値(構造耐震指標)」が用いられ、震度6〜7程度の地震に対する倒壊リスクの目安とされています。
国の告示に基づく評価では、Is値が0.3未満の場合は倒壊または崩壊する危険性が高く、0.3以上0.6未満でも倒壊の危険性があるとされています。
中古マンションの購入を検討する際は、可能であれば耐震診断報告書や耐震改修の記録を取り寄せ、Is値とともに、補強済みかどうかを書類で確認しておくと安心です。
| 確認項目 | チェック内容 | 耐震性判断のポイント |
|---|---|---|
| 構造種別 | 鉄筋コンクリート造か | 一般に耐震性に優れる |
| 形状・階数 | 凹凸少ないシンプル形状か | ねじれ少ない安定した揺れ |
| 1階の使われ方 | 全面駐車場や店舗の有無 | ピロティ階は変形集中に注意 |
| 耐震診断結果 | Is値と診断実施時期 | Is値と改修有無を総合確認 |
地盤・立地から中古マンションの地震リスクを見分ける
中古マンションの地震リスクを考える際は、建物だけでなく地盤や立地の安全性を確認することが重要です。
まず、自治体が公表する地震ハザードマップや液状化危険度マップを確認し、その場所がどの程度揺れや液状化の影響を受けやすいか把握します。
国土地理院の「重ねるハザードマップ」では、土砂災害や洪水などの各種ハザード情報を地図上に重ねて表示でき、周辺一帯のリスクをまとめて確認できます。
さらに、防災科学技術研究所の「地震ハザードステーションJ-SHIS」では、将来の強い揺れの発生確率や表層地盤の特性が地図で示されており、エリアごとの揺れやすさを把握しやすくなっています。
次に、地形や土地利用の履歴から、軟弱地盤や盛土造成地であるかどうかを推測する方法も有効です。
国土地理院の地理院地図や空中写真を用いると、河川沿いの低地や埋立地、かつて水田や湿地であった可能性が高い区域など、一般的に地盤が軟らかいとされる場所の位置関係を確認できます。
また、自治体や国土交通省が公開している「地形区分に基づく液状化の発生傾向図」や各市町村の液状化危険度マップを参照することで、盛土や埋立など地形条件に起因する液状化リスクの高低を相対的に把握できます。
このように、地図や地形情報を重ねて見ることで、単に住所だけでは分からない地盤リスクの有無を見極めやすくなります。
地盤リスクは、マンションの揺れ方や被害の出方に大きく影響します。
軟弱地盤や液状化しやすい地盤では、地震時に建物の揺れが増幅したり、地盤が沈下・側方流動を起こすことで、建物の傾きや基礎部分へのダメージが生じるおそれがあります。
さらに、地盤の変状は上下水道やガス管などの埋設ライフラインにも影響し、配管の破断やマンホールの浮き上がりなど、生活インフラの長期的な停止につながることがあります。
中古マンションの購入を検討する際には、建物の耐震性能だけでなく、こうした地盤とライフライン被害の関係も踏まえ、総合的に地震リスクを判断することが大切です。
| 確認方法 | 主な内容 | 地震リスクとの関係 |
|---|---|---|
| ハザードマップ確認 | 揺れやすさ・液状化危険度 | 地震時の揺れと地盤被害 |
| 地形・土地利用の確認 | 低地・盛土・埋立など | 軟弱地盤や沈下の可能性 |
| ライフライン情報確認 | 液状化危険度分布図など | 配管被害と復旧のしやすさ |
地震に強い中古マンションを選ぶための実践チェックリスト
中古マンションを内見するときは、まず共用部分の劣化状況を落ち着いて確認することが大切です。
外壁や共用廊下の仕上げに目立つひび割れがないか、鉄部に錆汁が出ていないかは、耐久性や耐震性の低下を示す危険信号とされています。
また、長期修繕計画が作成され、計画的に大規模修繕が実施されているマンションは、地震対策も含めて建物の性能維持に取り組んでいる傾向があります。
管理組合の総会資料や工事記録が整理されているかも、建物全体の健康状態を把握するうえで重要な手掛かりになります。
次に、管理状況や防災対策がどの程度整っているかを確認することが、地震時の安全性を考えるうえで欠かせません。
公益財団法人マンション管理センターは、防災対策のポイントとして、建物の耐震性や避難経路の点検、防災マニュアルの整備、共用部での備蓄などを挙げています。

管理組合が主体的に防災訓練や避難誘導の体制づくりを行っているマンションは、災害時にも居住者同士の協力が得られやすく、被害を抑えられる可能性が高まります。
エントランスや階段、避難口の表示が分かりやすく、通路に物が置かれていないかも、日常の管理レベルを映す重要なチェックポイントです。
さらに、地震に強い中古マンションを選ぶには、自分でできる確認と専門家への相談を上手に組み合わせることが有効です。
国や自治体は、マンションの長期修繕計画の作成や耐震診断の実施を促進しており、簡易耐震診断や長期修繕計画のモニタリング制度も整備されています。
購入を検討する段階では、管理規約や重要事項説明書を通じて、耐震診断の実施有無や修繕積立金の状況を確認し、不明点は遠慮なく専門家に相談することが安心につながります。
こうした情報を丁寧に読み解くことで、表面的な築年数だけでは分からないマンションごとの地震リスクを、より具体的に見分けることができます。
| 確認項目 | チェック内容 | 地震時への影響 |
|---|---|---|
| 共用部の劣化状況 | 外壁ひび割れや鉄部錆の有無 | 構造耐力低下や落下物リスク |
| 長期修繕計画と履歴 | 計画作成状況と大規模修繕実績 | 耐震補強や老朽化対策の進捗 |
| 防災対策と管理体制 | 避難経路表示と防災マニュアル | 迅速な避難と被害抑制の可能性 |
まとめ
中古マンションの地震リスクは、建物の構造・築年数だけでなく、地盤や管理体制によって大きく変わります。
旧耐震か新耐震か、耐震診断や改修の有無、ピロティ形式の有無などを冷静に確認することで、自分で判断できる材料が増えます。
さらに、ハザードマップや周辺環境から地盤リスクを把握し、共用部の劣化や修繕計画、防災対策まで総合的に見ることが重要です。
当社では、こうしたポイントを丁寧に解説しながら物件選びをサポートします。
「地震に強い中古マンションを選びたい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。